非正規社員は本当にデメリットだらけなのか
年収や福利厚生の面で、いまでも正社員をめざしている人は多いとおもいます。
でも実際は
・子育ててで一時離脱したら正社員に戻れなくなった
・40代で年齢的に厳しい
という声が多い。
そして、非正規でもちゃんと働いてるのは一緒なのに、なんとなく肩身がせまく感じるのはなぜなのか…。
正社員のように責任を負わないから?
誰でもできる仕事をやってるから?
社会的な信用がないから?
でもそんなこと言ったら、銀行もAIが導入されて正社員が大幅に解雇されるというし、
今や働く人のうち40%が非正規社員なので、信用がないとなったら世の中の半分の人はないということ。
…
もしかして、もう “正社員がベスト” という時代は消えつつあるのではないでしょうか。
ということで、ここからは今後、非正規社員こそがメリットになり、それが普通になる理由をのべていきます。
✓ 非正規社員であることのメリット
・人口が減りつねに人材不足に。仕事を選びやすくなる
・メンタルへの負荷を分散できる
・「辞めます」が言いやすい
・ダブルワーク・トリプルワークが普通になる
・病気になったら1社をつづけて2社を休みにすればいい
・転勤しなくていい
・残業がない/少ない
・会社の飲み会に出なくていい
・会社の冠婚葬祭に出なくていい
ちなみに、年功序列、終身雇用と思って働いてきた40代以降の人が
「そうはいっても正社員じゃないと不安だろう」
「家族ができたらやっぱり正社員が良かったって言うよ」
って思ってても、そうはならないと思います。
すでに今の若い人たちは、そもそも結婚するかどうかで悩んでいます。
会社への愛着もないから残業するくらいなら早く帰りたいし、出世も望んでない。
これからの日本の仕事、職場はこういう考えの若い人たちがになっていくわけですから、時代は当然そっちの流れになっていく。
1社に勤めないのでリスクが低い
もう終身雇用も崩壊してるし、高校生・大学生は就活の時点で「1社でずっと働く気はない」と思ってるでしょう。
1つの会社に勤めているとデメリットってかなりあります。
・派閥争いに巻き込まれる
・病気などで休職したときに戻りづらい
・仕事内容にあきてくる
・その会社の”ふつう”に慣れてマヒし、違和感を遠ざけるようになる
・クビになったら急に無職になる。収入がとだえる
特に最後のクビになったらいきなり無収入っていうのはこわいですよね。
だからみんな守りに入るし、イヤなこと、イヤな人間関係にも耐える。
こりかたまった社会(会社)に浸かって居つづけた挙げ句、いきなりクビになったらその後どうやって生きていけばいいんでしょう…めちゃくちゃ怖くないですか。
逆に非正規でいると身軽さがあって、ムラ社会的な関係につからずにすむし、その会社が合わなかったら次を探せばいい。
もし急に病気になったらそのときだけ仕事をしないで、元気になったら新しい会社でリスタートですね。
メンタルへの負荷を分散できる
同じ空間で同じ人たちだけでいると、気持ち的にラクな人もいるけれど、逆にそれがつらいという人もいます。
内側の事情を知ってるだけに忖度をせまられたり、関係性が深いとなにかとめんどうくさいんですよね。
その点、1つの会社におさまらずいろんな人間と仕事をしていけば、イヤな人とも離れられるし、気分一新できます。
浅いつきあいにはなるかもしれませんが、もし仕事関係なく仲良くなりたい人がいれば、プライベートとして会えばいいだけ。
「辞めます」が言いやすい
2019年の今、退職代行サービスというのが流行しています。
会社を辞めたいのに会社に引き止められ、それがつらくなって弁護士など第三者をとおしてメールやLINEで退職の手続きをしてもらうのですが、利用する人の中には「数万円はらって辞められるならコスパがいい」という意見もあるそう。
まあコスパの問題だけじゃないですけど、納得できるサービスですよ。
だって辞めるのに引き止められたりなんかしたら、正直ウザいとしか思わないですもん。
その点、非正規であれば一生いるとは思われないし、引き止められることももちろんない。
もし契約途中で辞めたいとなっても、代わりの人はすぐ見つかるでしょうから、非正規側としても言いやすいですよね。
期間が決まった仕事ですし、それを無事にこなすだけでも「円満にやってきてるんだな」というプラスの評価にさえなるかもしれません。
ダブルワーク・トリプルワークが普通になる
これからの時代、おそらくこれが非正規の働き方で1番フォーカスされると思います。
いつからか、自分は「月20万円の稼ぎがほしいとして、果たしてそれって1社からのみでもらう必要ってあるんだろうか」と考えるようになりました。
10年前だったらそれは正社員として1つの会社でずっと働くことで解決されたでしょう。
でも今は終身雇用じゃない。
だとしたら、月5万円の仕事✕4つやる=月20万円でも目的を達成したことになるんじゃないか、そう考えたんです。
2019年現在は、まだ企業が”副業を認めるようになってきた”程度ですね。
でもそれは、メインとなる会社員としての仕事があって、その収入の足しとして副業がある。
これが1年先、2年先になったら副業という言葉もなくなり、同一の時間、同一の労力をさくようになる、いわゆるダブルワーク、トリプルワークが普通になるんじゃないかと私は予測しています。
そしてそうなってほしいとも思っている。
もちろんすべての会社、すべての事業に責任者がいなくなることはないし、責任者は給料がまわりの人より多いことでその責任をまっとうすることになるので、全員が全員非正規で同じレベルの仕事をするというのはないと思いますが。
あと保険の問題とかもありますしね。
ただ、会社側が副業禁止にするとか働き方を一方的に決める今の流れは変わっていくんじゃないでしょうか。
人口が減りつねに人材不足に。仕事を選びやすくなる
退職代行サービスがはやっている一方で、2019年は人手不足倒産が過去最高になっているそうです。
特に道路貨物運送や介護、木造建築工事で多いとのこと。
こうなったらますます「自分の会社に正社員がちゃんといる or ぜんぜん足りなくて人手不足倒産」の二択になっちゃいますね。
でもこれも、ダブルワーク、トリプルワークで改善できるんじゃないでしょうか。
もう丸1日同じ人間、つまり正社員にいてもらうことは難しいわけですから、数人で1日の作業を埋めていくんです。
午前と午後、夕方でそれぞれ違う人が作業する。
そうすれば子どもがまだ小さい親も、午前だけ、午後だけという働き方がもっとできるし、需要も大きくなって選択肢が増えます。
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また、今だと建築業界の正社員は建築だけ、IT業界の人はネットだけをずっとやり続けていますが、1日肉体作業をしている人は腰を痛めやすいし、1日パソコンをしている人は目や肩を痛めますよね。
長くつづけることで持病になり、高齢になってからそのせいで体が動きづらくなってしまう。
でももしこれが分散されたら。
例えば、午前中は建設会社で肉体作業をして、午後は違う会社でパソコンによる事務作業、夕方はCというカフェで店員をやることで、体と脳の疲れを分散させられる。
極端に言えばこういう働き方も可能になるってことですよね。
業界としても、建設業界が下火のときもあるだろうし、逆にITがダメっていうときもあるから、そこを上手くぬって働いていくことでリスク分散にもなります。
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それから、人によっては、 1人作業でできる仕事を優先する or みんなでワイワイ言いながらやりたい っていうのも分かれるでしょう。
1人で黙々とやりたい人って一定数いるんですよね。
そういう人は人間関係も1社で深くっていうのはめんどくさいだろうから、1人作業を3つの会社でそれぞれやるとかすれば、人間関係にも悩まずにすみそう。
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あと、いろんな仕事を並行してやっていく中で、いつか自分がやりたかった仕事にめぐりあうこともあるかも。
こういうのは1社にずっといたらありませんね。
病気になったら1社をつづけて2社を休みにすればいい
「辞めると言いにくい」のも正社員のめんどくさいところですが、病気になったときも「休みます」が言いにくい。
別に休みたくて休んでるわけじゃないし、からだの不調だから仕方ないのに、なぜか働いてる側が気をつかうんですよね…
そういうのもトリプルワークをしてたら、例えば1社で午前中だけ働いて、午後の2社分は辞めるっていうこともできる。
で、体調が良くなったら、また違う会社で午後2社分やればいい。
病気だけじゃなくて、子育てとか、親の介護とか、長い人生の一時期フルタイムで働けないときを、仕事の量を加減することで乗り越えていく。
社会全体がこうやってフレキシブルになっていけば、人材もお金も今より回ると思うんだけど。
転勤しなくていい
今の若い人は転勤キライですよね。
私もぜったいイヤで転勤がない会社で仕事してます。
何がイヤって、自分の人生の「今ならOK」っていうフットワークが軽いタイミングで行けないのと、あと場所を選べないところ。
たまに「家を建てたら転勤が決まった」とか聞くけど、あんまりじゃないですか。
あと、生活圏と仕事の場所って位置づけが違います。
仕事だと割りきれば他社に常駐するくらいならガマンできるけど、仕事以外のプライベートタイムまで、ぜんぜん知らない土地の、友だちも家族も1人もいないところでいきなり過ごせってサバイバルすぎる。
残業がない/少ない
最近になって正社員の残業代がちゃんと出るようになり、
そして今やっと働き方改革で残業の上限もできたけど、それでもやっぱり「18時になった!はい終わり!帰りましょう」となる会社は少ないでしょう。
なんだかんだで18時半とか19時に帰ってる人が多いのでは?
仕事には規則があり、そこで就業時間が決められているのだから、副業禁止とかどうのこうの言うんだったら、就業時間もきっちり守ってほしいですよね。
働く側(正社員)が仕事が終わらなくて勝手に残ってるっていうのもあるかもだけど、強制的に電気を消して帰らせる会社もあるわけだし、周りへの負い目があるのだとしたらそれこそムダだと思う。
非正規だと周りも自分も残業はしない人っていう認識があるからラク。
会社の飲み会に出なくていい
会社の飲み会って激しくムダでしょう。
だいたいお酒が入らないと本音で語れないとか、普段あんまり話せない人と話せるとか、その場の雰囲気にたよらないと本気で接しられないのもどうなのか。
いやそもそも本気で接する必要があるんでしょうか。
友だちじゃないのに。
利害関係で結ばれている人たちなんだから、多少の距離があったほうがむしろ円満だと思いますけどね。
あとお酒がからむことでセクハラとかパワハラとか、昼間のシラフで仕事中なら起きなかった問題が起きたりするし。
こういうのは非正規だから呼ばれない=行かないのがベスト。
正社員の中にはお酒が飲めない、うるさい場が苦手などで断ること自体がつらいっていう人もいるから、そもそも呼ばれなくてよかったくらい思っておきましょう。
会社の冠婚葬祭に出なくていい
これは正社員でもよくグチの出るパターンで、一番多いのは「せっかくの休みを同僚の結婚式に呼ばれた」ってやつですね。
同僚の結婚式って、呼ぶ方も呼ばれる方も義理でやってるのがわかってるんだからやめればいいのに。
それこそ終身雇用がなくなるんだから、相手と一生のお付き合いはほぼないわけだし。
これも非正規だと同じ時間を長くすごすこともないから、そういうのに呼ばれることもなく気がラクです。
自分にあった働き方をしよう
こうしてみると、非正規のメリットも正社員のメリットと同じく”リスクの回避”になってるのが皮肉ですね。
今はまだ声が小さい非正規社員ですが、すでに40%も占めている時点で遠からずマジョリティになるでしょう。
ただし、正社員としての機能である、
・保険とかの福利厚生の問題
・仕事の責任の所在
・全国や海外進出企業は転勤必須
というのは残るでしょうから、今は働いている人たちが100%非正規になることは考えにくい。
ただし、正社員の社会的信用や収入面というメリットは薄れていく気がします。
逆に非正規社員は先に言ったようにもっとポジティブにとらえられ、呼び方も変わり、むしろ”そういう生き方がカッコいい”とすら思われるかもしれません。
現在は働き方の過渡期で、正社員と非正規社員、本業と副業などと分けて考えているのも、50%ずつの労力にわけたダブルワーク、30%ずつにわけたトリプルワークになりそうですね。
いずれにせよ、働き方の過渡期である今を頑張ってのりこえて、自分らしい働き方を見つけていきましょう。